今週からラマダンが始まりました。
「イスラム教のラマダンは断食をするもの」ということは、よく知られていてもそれ以外のことは、よくわからないという人は多いのではないでしょうか。
ラマダンについての記事はネット上にはすでに詳細で良質な記事があふれており、私が深い話をできるわけでもありません。
というわけで、私は今まで自分が見てきたラマダンや、率直に思ったことなどを書いてみます。
ラマダンとは?
そもそもラマダンって何?という方のために。
イスラム暦には「ラマダン」という月があります。日本の旧暦が1月は睦月、2月は如月というと同じような、月の名前です。
この月の1ヶ月間は、日の出から日の入りまでの間、一切の食べ物を口にせず、断食します。
断食で空腹を体験することにより、貧しい人々の気持ちを理解したり、皆で苦しい体験を行うことによってムスリム同士の絆を深める等の目的があります。
私は、昔は「断食=何も食べない」と思っていました。でも、何も食べないと死にますから!!インドのガリガリのヨガの人のような生活をイメージしてしまっていたのですが、そうではありませんでした。
あくまでも、「日の出から日の入りまでは食べない」のです。とはいえ、やはり日中何も食べないというのは楽なことではありません。
断食は苦行じゃない
こっそり食べちゃう人もいるんじゃないの?
私もそう思ってたけどね、違うのよ!
断食をしている人たちと接すると、口の匂いで本当に断食しているということを感じます。
うがいや口をすすぐことは認められているので、ズルしようと思えばいくらでもできますが、頑張っているんだと感じることができます。
ラマダンは自分の信仰心に基づいてするものなので、ズルをしようとは思わないようです。
少なくとも私の家族にとっては、断食は決して苦行ではなく、自らすすんでやるもの、むしろ率先してやりたいことなのです。
日没後に飲む水は格別ですよ。断食しないと味わえない味です。
日没後に3回の食事
ラマダン中の食事のタイミング。
1.夜明け前に起きて食事をとる。何を食べるか決まりがあるわけではない。通常の月の朝食と同じようなものを食べる。ここから日没まで何も食べない。
2.日没後の食事。ハリラとよばれるスープや野菜のスープ、フルーツジュース、ゆでたまご、パンなど水分が多めのものや、さほど重くないものを食べる。また、ナツメヤシやモロッコの伝統菓子などあまーい食べ物も食べる。
3.私の夫の場合だと0時ごろ食事をとる。普段、昼食に食べるような1日の中でのメインとなる食事。
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日中は食事をとりませんが、結局は3食食べるので、1日の食事の摂取量はさほど変わりません。むしろ、日中の断食の反動でついつい食べ過ぎてしまいがちになります。また夜中に食事をとるなどのことから、ラマダン期間中は太ってしまう人も多いそうです。
断食を免除される人。私はしてません。
子供、高齢者、病人、妊婦などは免除されます。常識的なルールですね。
生理中の人はその期間は猶予され、ラマダンの月が終わったあと、断食しなかった日数分を自分一人で行います。
前述したとおり、断食は信仰心に基づいて行われることから、やりたくて仕方がない人も存在し、妊婦でも断食してしまう人もいるほどです。
私は断食をしていません。以前にも書きましたが胃が弱いからです。(記事はこちら胃が痛い原因はオレンジジュースと冷たい飲み物だった。)
日本にいる時から医者に空腹をさけるようにと言われています。モロッコでもしょっちゅう胃痛を起こし、病院にもいっているので、夫も断食しないことに理解を示してくれます。
私としてもやってみようかなという気持ちはありますが、無理をして悪化させラマダンのさなかに迷惑をかけるより、自分で体を管理することが大事だと割り切っています。
モロッコの医療費は高いから悪化させないことは大事。
私が日本人であるということもあるのでしょうが、断食しないからといって非難されることはありません。うざいで有名なモロッコ人ですが、しつこくやれと言われることもありません。すばらしい行事を一緒に出来なくて残念という感じです。
いつか、一緒に断食しましょう。インシャーアッラー
ラマダン中はどうやって過ごしている?
特別に何かをしなければならないということはありません。仕事がある人は仕事をするし、仕事がない人はのんびり好きなことをしていればいいのです。ただ多くの人が1日5回の礼拝をいつもよりしっかりこなし、モスクに行く回数も増えます。
我が家の義母は普段通り食事を作り、それから掃除をしまくります。普段は掃除しないところもひと月かけて、徹底的にきれいにします。
日本では12月に大掃除をしますが、我が家ではラマダンの1ヶ月間、しっかり掃除をするので、毎年年末に「年末だけど大掃除はしなくていいのだ」とのんびりできます。
夫は、1時間ぐらいコーラン(クルーアン)を読誦します。コーランはそもそも声に出して読むべきものです。読むときは独特の節があって、お経のような、歌を歌っているような感じです。
コーランを上手に読むコンテストもあるんですよ。
断食中なんだから、黙って休んでいた方がいいんじゃない?
いいんです。コーランを読むと気持ちがとてもさっぱりするんです。
よいムスリムになるために町の人たちの服装が変わる。
モロッコの民族衣装であるジュラバ。どちらもフードが付いていて、頭から被って体全体を覆うワンピースのようなものです。ゲゲゲの鬼太郎に出てくるねずみ男のような服というと、イメージしやすいかと思います。
男性用と女性用がありますが、特に女性は体の露出を隠すために着用されています。ただ若い世代や都市部にいくほど着用率は下がり、普段はお尻を隠さずにぴったりとしたパンツをはく人も多いです。
ところが、ラマダンとなると一変して、女性はほとんどの人がジュラバもしくは肌の露出を避けた服装となります。この時期に外出するとおしゃれなジュラバを来た女性がたくさんいて、見ているだけで楽しいです。
ある年のラマダン中に、スーパーに出かけたところ、20歳ぐらいの女性と60歳ぐらいのおじさんが大げんかをしていました。けんかの発端はおじさんが「ジュラバのスリットや胸元が深すぎて肌が見えすぎだ」と女性に言った事でした。
ラマダン中は、多くの人がより良いムスリム(イスラム教徒)になろうと自分の行動に気を付けています。欲を絶ち自分を清めることに努めなければなりませんから、女性をいやらしい目で見てはいけません。
おじさんは、自分はよいムスリムになりたいのに、邪魔をするなという理屈なのです・・。
いやいや、それは自分の心の問題だよね。ラマダン中はけんかもよくないよ。おじさん、まだまだ修行がたりませんなー。
でも彼女たちの着ているものはあまり良くないよ。目上の人とけんかするのもよくないね。
夫と私では感覚にズレを感じました。
ジュラバを着るのは女性側が見られたくないという理由のほか、男性側に見せない配慮という理由も大きいと感じた出来事でした。
まとめ
ラマダンは、イスラム教において重要な行事です。よりよいムスリムになるために、頑張ってまじめに取り組んでいます。
今は旅行どころではないご時世ですが、もしラマダン中にイスラム圏を旅行するなら、それなりの配慮もしてあげてほしいなと思います。
というか、お店やレストランも限定的になるのでこの期間中の旅行はおすすめしませんが。
ぜひ楽しい季節にモロッコに来て下さい!