私は2人の息子がいます。下の子は日本でいうと小学2年生になりました。新学期が始まり1か月を過ぎ、この数日急に時間的な余裕ができたように感じています。
子育ての一番大変な時期は終わったのか!?とほくそ笑みながら、出産した時のことなどを思い出しました。私が一人目を出産したのはもう8年前になります。
記憶も薄れてきましたし情報も古いのですが、海外出産の一例として体験記を書いてみます。
病院・入院のことなど
定期健診を受けるかかりつけの病院と出産する産院は別です。
予め産院を予約しておいて産気づいたら産院へ向かい、同時にかかりつけの医者も呼び出し、出産に立ち会ってもらう形でした。
定期健診は2か月に一度。トキソプラズマ感染の血液検査と体重と脈を毎回計測しますが体重について指導があったことはありません。こちらから体重について質問しても「問題ないよ」という回答でしたが産んでみたら4000g。ちょっと注意が必要だった気がしました。
果物は太りやすいと聞いたので、次男妊娠時は多少食べるのを控えたのですが、それでも3950g。
モロッコでは日本より体重に関しては考え方が緩やかなのか、それとも日本人が神経質すぎるのでしょうか?
小さく生んで大きく育てるっていう雰囲気は全くなかった。
予定日前の破水からの出産
私は生理日の周期をメモしていたので妊娠したと思われる日はかなり正確なはずでした。そのため出産日も大体予定日ぐらいになるのだろうと思っていました。甘ちゃんです。
予定日より二週間前のある朝、トイレに行こうとベッドから降りた瞬間破水しました。おもらししたように床には水たまりができるほどです。すぐに病院に行ったのですが「まだ生まれない」と家に帰されました。
薬を指示され薬局で買って飲みました。抗生物質と陣痛を促すためのものだと思われます。
たくさん羊水が出てしまって赤ちゃんは大丈夫なのかと不安でたまりませんでしたが、2~3時間ぐらい過ぎて陣痛がきて無事出産となりました。破水のことなど1度も考えていなかったので、焦りました。
ドクターが予定日の計算を間違えたんじゃない?
違うよ!出産ってそういうものらしいよ。
臨月に入ったら何があるかわからないってことだよ。
分娩室にて。「ひっ・ひっ・ふー」は無い。
陣痛が来たので病院に行くと「この部屋を歩いて」と何周も歩かされました。腰が砕けそうな感覚の中、「もう立っているのも無理!」と膝を付いた時、やっと分娩室に入れてもらえました。
分娩台に乗ると助産師さんのような女性がフランス語で「吸って~。吐いて~。」と言っているのですが、どっちの単語が「吸う」で、どっちの単語が「吐く」なのかわからなくてほんの少し躊躇しました。ジェスチャーで示してくれるということはなかったです。
私の出産のイメージは
医師や助産婦さんが「だめだめ!まだいきんじゃダメ!・・そう、今よ!いきんで~!!」という感じ。
でも違っていました。 「ひっ・ひっ・ふー」 もなければ、ゴーサインのようなものも全くありません。私が痛さで絶叫していると外で待っていた夫が分娩室に入ってきました。
ぼかいか、あなたが叫ぶばかりで力を入れないのでみんな困っています。
お医者さんが「うんこするみたいに力を入れて」と言っていますよ。
えぇっ!?勝手に始まっていいの!
スタートって言うのを待ってたのよ。
受け身がちな私の性格のせいもありますが、モロッコ人は自分の考えでどんどん勝手にやる人たちだから細かい指示とかはないんだなーと妙に納得してしまいました。
そして「いきむってどんな感じなんだろう。後で調べよう」と思っていたところの陣痛だったので、いきむということがよくわかっていませんでした。「うんこと同じならできるぞ!」とやってしまいました。
初めて出産を経験される方に言いたい。これは絶対にやってはいけません。
力を入れるのは下腹部だよ。
私はうんこと同じようにいきんだため、肛門が大変なことになりました。出産後、肛門を触ると握りずしのシャリぐらいの大きさに腫れていました。
また、もともと小豆ぐらいの大きさのイボが肛門にあったのですが、それはさくらんぼぐらいに腫あがっていました。サクランボ寿司です。
座ることもままならず、私は普通に生活できるまで1か月以上かかりました。初めての出産なのでみんなこんなものだろうと思っていたのと、子供を産んだ喜びでそんなに大変だとは感じませんでした。
2人目の出産を経験して1人目が大変だったことがわかりました。
ちなみに肛門の腫れは引きましたが、締める力は弱くなったと感じます。イボはしなびれてレーズンのようになりました。下品になってしまいごめんなさい。とにかく肛門に力を入れてはだめです。
出産後の食べ物。
妊娠中は制限される食べ物も多くあります。出産後は自分へのご褒美として「絶対にお寿司を食べよう!」と思っていました。ところが!
残念なお知らせ。ドクターが「お米は食べないで」って言っています。
出産時には赤ちゃんを出しやすくするために会陰を切開し、出産後すぐさま縫合します。そして排便時に縫合部が引っ張られるのを抑えるため下剤が処方されます。フランスやモロッコなどでは「お米を食べると便が固くなる」と言われているので禁止されたのです。
日本で出産経験がないから知らないんだけど
日本でも下剤のむのかな?
病院で食事は出ないので、1人目出産後最初の食事は義母が作った鶏肉料理、二人目の時は義母がメッカに行って不在だったので夫がピザをテイクアウトしてきました。産後だからと言って特別なものを食べるわけではないということです。
同室のモロッコ人の方は野菜のポタージュスープやフルーツジュースなどをご家族の方が持ってきていて私もごちそうになりました。
出産時の産院
モロッコでは出産後は日本のように必ず入院するわけではありません。1人目出産時は日帰り、2人目の時はちょっとのんびりしたかったので1泊しました。1泊すればその分入院費用が掛かるので、そこは自分の選択になります。
私の出産に立ち会ったお医者さんが次の日に「今日もたまたまこの病院で出産があったので様子を見に来たよー」と来てくれました。逆に言うと出産後は医師が来ることはないということです。
持ち物
持参しなければならないもの
・悪露シート
・赤ちゃん用のオムツ
・赤ちゃんの衣類、おくるみ、布団
最低限必要なのはこれぐらい。悪露シートは生理用ナプキンを大きくしたようなものです。産後1週間ぐらいは出血があるので使用します。
悪露シートは薬局(パラファルマシー)で売っています。スーパーで見たこともあります。赤ちゃん用品売り場ではなく綿棒とか化粧用コットンの近くにありました。
悪露シートがない場合は新生児用おむつのギャザーの部分をはさみで切って代用します。私はどちらも持って行かなかったので「オムツも持って来てないの?」と言われ恥ずかしかったです。
ドンマイ自分!私は外国人、いろいろ不備はあるさ。
新生児のための服と毛布なども持参。病院の職員が着せます。おくるみも持参しましたが使い道がわからなかったようで単なるマットとして使われ、むしろマットとして使って欲しかった毛布にくるまれていました。
新生児は風邪をひかないように夏でも暖かくします。帽子もかぶらせるように言われました。
持ち物は病院の設備次第です。
事前に確認すればベター。
ミルクが出なくても大丈夫
私は1人目出産時、肛門が腫れて座ることもままならず、赤ちゃんに母乳をあげることも困難でした。辛うじて初乳は飲ませることができたものの、その後は母乳をあげることができず母乳が出なくなりました。
病院に行くと「これを食べろ、あれを食べろ」「ああしろ、こうしろ」いろいろ言われて泣きたい気持ちになりました。
いろんな人が「絶対母乳は出る」と言ってくるのがとにかく腹立たしかったです。出ないものは出ません。
結局1人目は完全ミルクでしたが病気も少なく元気でした。
ちなみに2人目は母乳が出ました。粉ミルクと併用でこちらも問題なく元気でした。
粉ミルクに使う水は注意しよう!
モロッコならシディアリは良くないそうです。
ぐるぐる巻き
新生児のぐるぐる巻き。世界各地で行われているようですがモロッコでもこの習慣があります。
「足がまっすぐになるからやる」という人もいますが、締め付けられることで子宮にいるようになり安心するからという説を私は支持しています。
体を布で巻かれてからベルト状の紐でミイラのようにぐるぐる巻きにされます。それは棒状に硬くなるほどしっかりです。
真冬生まれの長男はこれをするとよく眠りました。次男が生まれたのはマラケシュの夏真っ盛り。それでも義母と義理のおばが張り切って巻いていました。ぐずることが多かったので次男にはあまりしませんでした。
万能ではないということです。
熱中症も不安ですし。
まとめ
日本の細やかなサービスと比べると、モロッコの出産は簡素ですし、産む前も後も指導は何もありません。自分で必要な知識を備えておく必要があります。
正直なところ、私は勉強不足だった点はありましたがその分、無駄に不安になることも少なかったのかもとも思います。妊娠中ずっと「なんとかなるんじゃない?」ぐらいの気持ちでいられたのはモロッコのおかげかなという気がしています。