モロッコでフランス語を学ぶ。語学スクール体験談

フランス語の筆記体の一部 生活

 モロッコではアラビア語とフランス語が広く話されています。学校ではフランス語は必須科目となっており、話せる人も多いです。

 夫から「アラビア語を学ぶより、フランス語の方が簡単だから勉強したら?」と勧められ、半ば強制的に(笑)フランス語学習教室に通わされたことがありました。

今日はモロッコでフランス語を習った時の話を書いてみます。

学習教室のシステム

 私が通った学習教室は、マラケシュの新市街の中心部にあり、institut francaiというフランスの団体によって運営されている学校です。

モロッコの子供たちも通うフランス人学校の敷地内にあり、手入れの行き届いた庭などもありました。

 私が通ったのはだいぶ前のことなので調べてみたらいろいろ変わっているようです。興味がある方は、こちらのサイトを見ていただきたいと思います。

 あくまでも私が通っていた時の話になってしまいますが、授業は1回に1時間30分で週に2回、学校がフランスから取り寄せたテキストブックを使ってフランス語のみで行われました。

1年の終了時には聞き取りと筆記の試験が行われ、合格できないと次のレベルには進めません。

 先生は、各クラスごとの担当制で初級クラスはモロッコ人のおじいさんでした。ちょっと頑固な感じもありましたが、やさしい先生でした。

どんな人が受講しているか?

 1クラスは20人ぐらいで、内訳はモロッコ人が半分、それ以外の外国人が半分という感じです。

外国人は、サウジアラビア人、アメリカ人、ブラジル人、スイス人などいろいろで、アジア人は私1人でした。

彼らの話ではアラビア語や英語が話せても、フランス語が分からないとモロッコでは生活しにくいので勉強する必要があるということです。

ぼかいか
ぼかいか

日本人の会話に英語が多く入っているのと同じように、モロッコ人の会話にはフランス語が多く入っているんだよね。

 モロッコ人はというと、結婚が決まって何もやることがないから通ってるという若い女の子、60代ぐらいのおばちゃん、仕事がないから就職のために勉強するという女の子、親に無理やり通わされているっぽい青年、スーツをきたおじさんなどさまざまですが、やることがないから勉強でもしてみるかという感じの人が結構いるという感じがしました。

授業風景

 私は、モロッコに来てからのんびり自分で勉強しようと思っていたので入学時点でフランス語の知識はほんのわずかでした。

入会の手続き等はすべて夫が済ませ、レッスンが始まる1か月前からあわてて勉強始めたぐらいです。フランス語とモロッコ語の聞き分けすらできていませんでした。それでも入会受付のところで「初級クラスで問題ないです」といわれ、入会しました。

 授業が始まってみると、モロッコ人は、聞き取りや話すことに関しては初級クラスの人でもそれなりに上手です。みな、よくしゃべるので、「騙された。場違いなところにきちゃった・・」と最初は思いました。しかし会話上のルールやテキストブックを使った文法上のこととなると話は別です。

先生「こんにちは。○○(名前)」
生徒「こんにちは、先生。元気ですか? 」
先生「ありがとう。私は元気です。あなたはどうですか?」
生徒「元気です。」

 このやり取りを先生が生徒の1人1人としていくのですが、スムーズにいかない人も結構います。私の場合、「自分の番になるまでに丸暗記しよう」という考えになるのですが、モロッコ人は自分の番の時になった時に練習しながら覚えるという感じです。

先生は結構いらいらしてる感じなのですが、モロッコ人は、怒られてもにやにやしていて、心臓の強さに驚かされます。外国人の生徒は比較的すんなりとクリアできるようでした。入会時に初級クラスで問題ないと言われたことに納得しました。

 授業中、先生の質問の答えがわかった時は、肘をついて人差し指を立てて指名されるのを待ちます。モロッコ人は皆積極的で答えたがるのですが、不正解のことも多いです。
 私はそもそも質問を聞き取れていないことが多く、挙手することもあまりなかったのですが、ある時あまりにも正解が出てこず、たまたま質問を理解できた私が勇気をだして答えると「おぉー!!」とみんな喜んでくれました。初級クラスは一体感があってとても暖かい雰囲気です。

勝手に日程変更

 先生の都合で、授業の日時が否応なしに変更になる時がたまにありました。しかし、そのお知らせは、授業の終わりに「次回は、水曜日じゃなくて木曜日に変更します。」と口頭で言うだけです。
 いつもなら先生も周りの生徒も「大丈夫?意味分かった?次は木曜日だよ!」など、気にかけてくれるのですが、そういう日に私が欠席してしまったことがありました。

 ある日、通常通り学校に行ってみると、知ってる顔が誰もいません。変更なんだなとは推測できましたが、そちらの都合で変更してくるのだから、メールとか電話でお知らせしてくれないものかねぇと思ってしまいました。
 そもそも勝手に日時を変更することにも驚いたのですが、モロッコ人はそういうことはあまり気にしないようです。

ぼかいか
ぼかいか

この時たまたま「僕は変更になったこと知ってたけど、間違えていつも通り来ちゃったんだー」というクラスメイトにあったので次回の曜日を教えてもらえました。

苦労したこと

 苦労したことは、いろいろありますが、とりあえず二つ。

 1つ目は予習です。授業はテキストブックを予習をしていけば、なんとかついていけるのですが予告なしに「今日は、ここから数ぺージ飛ばして、次の章をやります。」ということもあるので、予習を自分でどんどん進めておかないといけないのが結構大変なところでした。 

 二つ目は板書の文字がフランス語の筆記体であるということです。英語の筆記体とフランス語の筆記体はまるっきり同じではないということを私は知りませんでした。英語の筆記体すらうろ覚えの状態でしのたで、やらなくてはいけないことがたくさんある中で、文字から勉強しなおさなければならないのは結構しんどかったです。 

ぼかいか
ぼかいか

フランス語の筆記体は、英語と比べると、まるっこくて、やたらぐるぐるの飾りがついてるよ。大文字のSとT登場するといつも「これなんだった?」ってなっちゃう。

フランス語の筆記体の一部

楽しい思い出

 私は、テキストブックに沿った事以外はほとんど聞き取ることができず、先生が「~をしてください」と言ってもきょとんとするばかりだったのですが、クラスメイトに、ああするんだよ、こうするんだよとお世話してもらって勉強を続けることができました。

日頃はモロッコ人に対して、お節介だなとか、余計な口出しをしないで~!とか思うことがよくあるのですが、この時ばかりは、そういったモロッコ人の性格がとてもありがたかったです。

 休み時間などに、年齢・性別・国籍を超えてみんなでおしゃべりしたのもいい思い出です。私のカタコトの英語でも、英語ができる人が翻訳しながら仲間に入れてくれました。ひどくカタコトなのに、「もっと話して!」と言ってくれることが、うれしかったです。私は、子供のころから仲間とわいわいやるタイプではなかったので、あこがれていた青春時代を過ごせたような気がしました。

 また、図書館の利用も楽しみでした。大人用と子供用があるのですが、私が利用するのは専ら子供用図書館。絵本を借りるのがとても楽しみでした。CDやDVDも多少あるのですが、人気のものは、ありえないほど傷がついていていて借りてもほぼ見れません。これぞモロッコという感じです。

ぼかいか
ぼかいか

モロッコは本屋が少ないし、あっても小さい。本屋さんが多数集まって販売するイベントが行われているのがニュースになったりするよー。

図書館で見つけた本。かわいくて面白い!!

留学先としてはおすすめしない

フランス語を学ぶための留学先として費用が安く抑えられるという理由でモロッコをおすすめする人がいます。私は個人的にはおすすめしません。

フランス語が多く話されているとはいえ、話せないモロッコ人も多いから語学学校があり、経営が成り立っているのです。

モロッコ人特有の発音のくせもありますし、フランス語があまりできなくても「俺はぺらぺらだぜ!」って感じで話してきたりするので、自分が間違っていなくても不安になったり、混乱することがあります。

モロッコ人の若い世代は英語を学んでいます。学んだ英語は使いたいのです。アジア人を見れば英語を使う絶好のチャンス。学校外でフランス語を使いたくても「英語でいいよ」と言われたりします。

何をするにも無駄に時間がかかるモロッコ。勉強する前に疲れてしまいます。
勉強が第一目的ではなく、モロッコ滞在のついでに勉強するぐらいの位置づけならいいかと思います。

 まとめ

 半強制的に連れていかれた学校でしたが、思いのほか楽しかったので夫には感謝しています。

モロッコに来てからは、日本にいるときのように自由に外出することがなくなっていたのですが、学校に通うことによって家の外の雰囲気や人とのふれあいを感じられたことが私には貴重な体験でした。

 ただ、もっと事前に勉強していたら、もっともっと楽しかっただろうと残念なところはあります。私は初級クラスの試験は合格しましたが、次のクラスは出産のため途中まで通しか通えませんでした。いつかまた通ってみたいです。

広告


 

タイトルとURLをコピーしました