モロッコの音楽というとグナワやジャジューカのような伝統的、民族的なものが有名ですが、私は全くはまりませんでした。
伝統的、民族的なものは私にはうるさく感じる。
私はポップな音楽が聴きたいのよ。
そこで今日はモロッコのラジオやテレビでよく聞く、一般的な音楽を紹介してみます。モロッコポップ?という分類な感じです。
よく耳にする+私の好みの曲をピックアップしてみました。表記は歌手名ー曲名の順です。
Redone -Dirou Niyya
2022年ワールドカップ以降、モロッコで盛り上がると言えば完全にこの曲。試合後などにテレビ放送でよく使われていました。
正直冒頭の女性の声が少々うるさく感じたのですが、慣れてくると逆にそこがくせになり一緒に歌いたくなります。
Jannat ft. Toofan – MaMa Africa 2017
アフリカ大陸の国々が加盟しているアフリカ連合。モロッコは西サハラ領土問題に起因して加盟していなかったのですが、2016年にモロッコ国王が加入を表明、2017年に加入が承認されました。
この曲はその頃に作られた曲です。
ようこそモロッコ、ようこそアフリカ。「アフリカ連合にモロッコが来たぜ~!」という感じ。高揚感があり、アフリカとモロッコの明るい未来を感じさせる曲です。
フランス語の歌詞が付いているので少しわかりやすいです。
途中、le sahara est marocainという歌詞があります。私の初級レベルのフランス語知識では、ニュアンスは正確に理解できませんがここを直訳すると、サハラ(砂漠)はモロッコ人?
「西サハラはモロッコのものですよ」というアピールをさりげなくしている気がします。
・女性パートの後の男性二人のパートになります。黒いタンクトップの男性パートが何気に盛り上げてくれます。終盤の2人のダンスもかわいらしく楽しげ!
・国王の公務の映像がたびたび映し出されます。様々な伝統的な衣装がおしゃれです。
Fayçal Azizi – Hak A Mama
一時、テレビでこの曲のPVが頻繁に流れていました。しかしなぜか途中でブチっと途切れ残念な気持ちになっていました。
この楽曲にコテコテのモロッコっぽさは感じません。
夢の中のような、幻想的なメロディ。アラブ音階っぽい感じが正直あまり好きではなかったのですが、いつの間にか、ついつい聞き入ってしまっている自分に気が付きました。やはり楽曲の持つパワーが強いと思わされます。
たちくらみするような独特のメロディラインをご堪能ください!
Asma Lmnawar -Andou Zine
この曲はある年のラマダン明けの食事の時間帯にテレビでよく流れていました。小麦粉だったか、洗濯用洗剤のテレビCMにも使われていて、モロッコ人からの好感度、知名度は相当高いはずです。
彼女の声はいい声です。
少しハスキーな声が人気があるよね。
このPVはモロッコの結婚式のパーティーの様子をコミカルに再現してあります。私の知るモロッコの結婚式は男女が別の部屋や日時で行うことが多いのですが、男女が席を共にしています。時代が変わって来ているなぁと感じました。
途中、紙袋に鶏料理をこっそり入れている人のシーンが数秒あります。
これは私の解釈ですが、単に悪い人ってことではなく「自分はこんなに楽しいパーティーに出席できたから、せめて家族にはおいしい食べ物を食べさせたい」ってことなんじゃないかと思うんです。
私の義母も結婚式から帰ってくると「おいしい食べ物もらってきたよ。食べて。」と家族に食べさせます。(ちゃんとしたお土産用ですよ~)
鶏をいきなり持っていくのはマナー違反だけれど、モロッコの温かさを感じたシーンです。
・ストーリー仕立てになっており、モロッコの結婚式の雰囲気が楽しめる。
この歌手はこの曲の前にも、大ヒットしていた曲があrます。この曲がラジオで流れると料理をしている義母も思わず一緒に歌いだすほどです。こちらのリンクからどうぞAsma Lmnawar – Hakawa
Fnaïre フナイル
フナイルはマラケシュ出身のグループです。
もともとはラップ?ヒップホップ?のスタイルだったのですが、最近ではそのカテゴリーから脱却し、ちょっと違ったスタイルになってきているようです。
私はラップやヒップホップは好きではないのですが、フナイルはとてもかっこよくて好きです。
Hamra W Khadra
曲名はアラビア語で赤と緑という意味です。
赤と緑といえばモロッコ国旗。赤地に緑の五芒星が書かれています。
PVはデザインされたアラビア語の単語が様々に次々登場してくるだけですが、意外に面白くて見入ってしまいました。最近もラジオで聞いたばかりだったのですが、youtubeにアップされたのでさえ10年ぐらい前なので、長く聞かれているということがわかります。
曲はとにかくかっこいいです。弦楽器の音がモロッコっぽいです。聞くべし。
Dilbar Arabic Version
もともとはインドの曲でそのアラビア語バージョン。インド版を歌っているnora fatehiさんという歌手と共演しています。
テレビCMでも使われていたことがあり、インド映画風のダンスが圧巻のとても楽しいビデオです。インド版も観てみたところ、インド版は妖艶な雰囲気でしたが、このアラビア語版はテンポがよく、若々しいさわやかさがあります。私はアラビア語版のほうが好きです。
終盤でライフル銃を両手で持って肩を前後に揺らして踊っているシーンがあるのですが、あの踊りはモロッコの伝統的な踊り方だなと思いました。インドにも同じような踊りがあるのかはわかりませんが、「踊りを教えてあげるよ」と言っているようなシーンも見られます。
鉢巻をしたメンバーの大根演技にも注目!
まだある!フナイルのおすすめ曲
私がフナイル好きなのでさらにピックアップしました。ぜひ聞いていただきたい。いや聞け!!!!
・イントロからかっこよくて引き込まれます!超おすすめ!Fnaire – Hdé Rasek
・息子が日本でいう小学1年生の時の学校行事で、この曲でダンスという演目がありました。小学生のダンスにこの曲選ぶか!モロッコすごいです。FNAiRE – YED EL 7ENNA
・ドミニカ人アーティストとのコラボ。音楽フェスで盛り上がりそうFnaire – 3echaqa Mellala
・2016年、モロッコでCOP22が開催された際に、公式イメージソングとして使われていました。このPVでは優しいパパさんのような雰囲気を醸し出しています。 Al Amir Nadif
Zouhair Bahaoui – DÉCAPOTABLE
この曲は大ヒットというよりは、スマッシュヒットぐらいという印象でしたが、youtube再生数はすごい。wikiペディアによればアラブ圏で知られている歌手だそうです。
リズムや歌い方、ダンスなどモロッコ感が強いのでピックアップしてみました。
正直にいうと微妙な田舎臭さで、歌っているお兄さんもそこらへんにいそうなごく普通の若者といった風貌です。
でもそこが親しみやすさがあっていい感じなのです。
私の息子たちはこの曲が好きです。モロッコ人の心に響くリズムということなのかもしれません。
・モロッコ人が踊りだしそうなリズム。ダンスも歌もモロッコっぽくて楽しい。
・登場する警察官とパトカーが、実際のモロッコのパトカーと警察官とは違っていて寸劇感がある。
Said Mosker – HIGH CLASS
♪アナ ハイクラス!ハイクラス、ハイクラースというサビが何度も繰り返される。
「私はハイクラス」という意味ですが、俺は金持ち~♪っていうことではないです。
個人的な感想としては声がとてもモロッコ人っぽい、モロッコ人に人気の声質と感じました。
・歌詞の中の「RASS」という単語がものすごい巻き舌!
・同じフレーズの繰り返しが多く、歌詞が少ないので覚えて歌うこともできそう!
その他
Jabara Fan – Grini
詳しくはよく知らないのですが、もともはインドで映画のプロモーション活動のために作られた楽曲らしいです。そのアラビア語バージョンがこちら。
モロッコの海辺の町エッサウィラに行くと、持参の機器でこの曲を大音量で流し踊りだすおじさんがいます。すると、周りにいたモロッコ人もぞろぞろ踊りだすのです。モロッコではインド文化は受け入れられやすいようです。
・PVがコミカル。
・歌手の声がきれいで聞きやすい。平井堅っぽい。
・ハイリホビラハイリジャブラヘガホガヤ~♪が頭から離れなくなる。
Khaled – C’est La Vie
モロッコの、というわけではないですがかなりよく聞くのでピックアップしました。
アルジェリアの歌手で現在はフランスに住んでいるそうです。
タイトルの「C’est La Vie」はフランス語で「それが人生」という意味。人生はそんなものさって感じです。
高揚感があって、歌詞はよくわからないけどなんだか前向きになれる曲。「何かいいこと言ってるんだろうな」ということは感じます。
youtubeのコメント欄に
0% drugs
0% insults
0% sexy girls
just 100% happy people
というコメントを見つけました。にこやかに歌う映像を見て、まさにこれだなーと思いました。
Saad Lamjarred-Lewjah Tani
私がモロッコに来て、いいなと思った最初の歌手がSaad Lamjarred 。
こぶしが入るようなモロッコっぽい歌い方で声は氷川きよしっぽい。歌は抜群に上手いです。
顔もなかなか良くて、テレビで見かけるとにやにやして見てしまうほどでした。
ぼかいか、 Saad Lamjarred がテレビに出てるよ~
なにー!!見なきゃ、見なきゃ!
アラブ圏でエンターテイメントといえばエジプトなのだそうですが、エジプトでもよく知られているそうです。
それなのに…!フランスで性的暴行事件を起こしてしまい逮捕、フランス国外に出ることができない状況でした。実は以前にも同様の事件を起こしていたこともあるとも聞いています。馬鹿だなぁ。
それでも音楽活動は続けており、モロッコでも新曲が発表されるとすぐラジオで流れます。
(追記 2023年2月有罪判決 懲役6年の言渡しを受けました)
好きな曲は何曲かあるのですが、 Zouhair Bahaoui とのコラボ曲 Lewjah Taniがモロッコ感が強く非常に良かったです。
Zouhair Bahaoui のソロパートから始まって、 Saad Lamjarred のソロパートに入ります。第一声からとにかく上手い。いい声。
モロッコ人が踊りたくなるリズム。ビデオの中でも2人がリズムに乗っているのですが、まさにモロッコ人の典型的なノリ方、踊り方です。
まとめ
私は音楽に詳しくもなければ、歌詞だって何を言ってるかわかっていません。
しかし!音楽は感じるもの。問題ありません。
私が感じたのはモロッコの歌手は歌が上手いということ。(というか、上手くなくても歌手になれる日本が独特なのかもしれません)
モロッコならではのリズムやメロディを聞くと音楽というのは芸術なんだなと改めて思います。
正直最初はちょっと垢ぬけていないと感じたモロッコのポップミュージックですが、聞いてみるとなかなか面白いです。