警察のお世話になってしまう人たち 義理親戚の実例

牢屋 手錠あり 悩み・トラブル

 モロッコに限らず、結婚すると多かれ少なかれ配偶者側の家族・親戚とのお付き合いが出てくることと思います。たとえ自分で選んだ配偶者が100点満点の完璧人間だったとしても、家族、親せきとなるとそうはいかないでしょう。
 モロッコでは、たとえ一緒に住んでいなくても家族・親戚はファミリーとして団結しています。我が家の場合もファミリーの絆は強いのですが、人数が増える、関係性が遠くなるほど、迷惑な人、困った人が出現します。今日は犯罪を犯してしまった2人の親戚のそれぞれの事例について書いています。そして、ついでに珍しい犯罪被害にあった1人の親戚の事例も書いています。 

傷害事件

 義妹の夫の話です。彼の名前はAと呼ぶことにします。
 Aの両親はすでに他界しており、肉親はカサブランカに住む兄夫婦のみです。そのため何かと私の夫が面倒を見てあげているのですが…。

 ある時、私の夫のもとに義妹から「Aが問題を起こしたので助けてほしい」と電話が入りました。
Aに事情を聴くと

「何もしていないのに雇い主の女性に警察に訴えられた。警察に身柄を拘束されそうな状況だ。
なぜかわからないが、この雇い主は自分に対し日ごろからひどい仕事を与え、私をいじめていた。これはただの嫌がらせなんだ。」という話だったそうです。

 これを聞いて憤った夫は「よし、やられたらやり返す。私たちも訴えよう!」と言い出しました。
 そして、ある病院へ行き、足にはギプス、手には松葉杖を持ち、ギプスを着けた腕を首から包帯で吊るし、頭に血が付いた(ように見える)ガーゼを張り付け、写真を撮ってきました。

 そして、その写真は雇い主の女性とけんかしてひどいけがを負わされた証拠写真として、被害届とともに警察に提出されたのです。 

女性とけんかしてそんなにボコボコにされる!?

 被害届提出後も騒動は収まらず、夫とAは電話でのやり取りを繰り返していました。知り合いの伝手により身柄拘束が近いという情報があったので、夫は知人に電話をかけまくり、警察のコネを探しぎりぎりまで身柄拘束引き延ばしに奔走したのでした。

 ところが!話を聞いているうちにAの話がだんだん変わってきていて、事実はAが女性の顔にナイフで切りつけたということだったのです。
 そこから示談にして欲しいと女性にお願いしましたが、女性の怒りは相当なもので聞き入れられませんでした。その後Aは起訴され懲役1年の実刑判決が下されました。しかし、その判決にAが不満だというので弁護士をつけ(費用は私の夫持ち)控訴すると、懲役6か月に変更となりました。服役中は夫の母が毎日食事を作り、刑務所まで差し入れしてあげていました。

やっていないって嘘つくから振り回されたよ。
嘘の被害届は火に油を注いだようなもの。
日頃から理由なくいじめられたというのも、
本人がわかってないだけで理由がありそう。

 モロッコで生活していると「持つ物が持たざる者の面倒を見てあげるべき。」という考えなんだなと思わされる場面に出会うことがあります。
 大家族の中で一人の稼ぎにみんながぶら下がっているのはよくあることです。私は、夫に対して「うちだって金持ちじゃないんだから、人の世話してる場合じゃないよ!自分が悪いんだから放っておけ!!」と思ってしまうこともありますが、そういう考えにはならないようです。その点に関しては立派な夫だなと誇りに思います。

強盗

 夫のいとこの息子の話。名前はBにします。
 友達と数人グループでスマホを奪うため町で人を襲っていました。まぎれもない強盗です。警察に逮捕され実刑判決を受けました。親戚たちは前述のAの件を知っているためか、夫へ「Bにも弁護士を付けてあげて欲しい」とお願いしましたが、夫は「罪状が悪質すぎる。甘やかさないほうがいい。」と言って受け入れませんでした。確かに、生活に不自由しているわけでもなく、ただの遊ぶ金欲しさのためにやった行為は許されるものではありません。しかも夫はBについては名前さえうろ覚えなぐらいの関係性なのに、そこまで面倒見る必要はないと思うので、断ってよかったと思います。モロッコ人は気軽にダメもとでお願いをしてくるので、断っても気まずく思う必要はないし、毅然とした態度をとらないと後々面倒なことになります。

 Bは出所後、女の子と知り合って結婚しました。Bは23歳、彼女は18歳です。子供も生まれ、家業を手伝って収入を得ていますが、お金のことはあまり考えず、タバコやその他のよくないもの(!)に大半を使ってしまうそうです。正直なところ、この先もなにか問題を起こしそうだなと思ってしまうのですが、若いお嫁さんと赤ちゃんに幸あれと願うばかりです。

催眠術を使った犯罪の話

 これは夫の母の弟の奥さん、要するに夫のおばの話です。これは加害者側じゃなくて被害者側になった話。名前はCさんにします。Cさんは苦労人でとても優しい人です。

 Cさんがある日買い物に出かけると、家の近くの路上で3人組の男が近づいてきました。男たちはCさんの名前を知っていて、「あなたはCさんですよね?」と話しかけてきました。男たちとCさんはいくつかの会話を交わし、最後に男たちのうちの一人が「あなたの家のお金を持ってきてください」と言ったそうです。すると、Cさんは、言われるがままに家からお金を持ち出し3人組に渡してしまいました。
Cさんはどうやら催眠術にかけられたらしいのです。金額は日本円で5万円ちょっとですが、モロッコ人にとっては大金です。しかもそのお金はCさんのものではなく同居する家族のものでした。正気に戻ったCさんは泣き続け、体調を崩してしまったそうです。

 にわかには信じがたい、奇妙な話だと思いましたが、夫に聞くと「あり得ることだよ。そういう話は聞いたことある。世界では結構ある。」ということで、催眠術による犯罪ということに驚きはないようでした。もちろん、Cさんについては気の毒に思っています。
 私のただの想像ですが、モロッコ人は会話好きで話が長く、知らない人とでも割と抵抗なく話をするので、犯人にとっては催眠術をかけるチャンスが多いのかなと思いました。

 怖いと思ったのは犯人たちがCさんの名前を知っていたこと。あらかじめ狙いを定めた犯行ということです。いつどんなふうに調べられたのか、名前のほかにどんな情報を掴まれていたのか、考えるとぞっとします。

まとめ

モロッコの治安はそれほど悪くないと思っていますが、このような話を聞くと、決して良いとは言えないと実感します。バッグやスマホのひったくり被害の話はよく聞きますし、私の夫は私が1人で外出するときは毎回とても心配します。モロッコ人ですら気を付けなければならないのです 。旅行でモロッコに来られる方は、日本人はとにかく目立つ、そして狙われやすいということを念頭に置き気をつけていただきたいと思います。

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