「あなたのこと、本当の家族だと思ってる。」
モロッコ人と恋愛、結婚して相手の母から言われたことがある人は多いのではないかと思う。
でも、あまり感動的にとらえない方がいい、と私は言いたい。なぜなら私も言われたけれど所詮嫁は嫁だなと思うことが多々あるからです。
エピソードがあふれ出てきます。
ムスリマネーム
ムスリムと結婚する時はムスリマとしての名前が必要です。結婚手続き時に既存の名前の中から1つ自分で選ぶことになります。
私はのんびりと結婚手続きを進めたので正式に結婚が成立するまで6カ月ぐらいかかりました。その間、義家族とは同居しており、ずっと本名で呼ばれていました。
ところが、思いもしなかったことに正式な結婚が完了するや否や義母はムスリマネームで私を呼び始めました。書類上だけの形式的なものと思って超テキトーに付けた名前は「ファティマ」。
人によって感じ方は様々だと思いますが、私はファティマと呼ばれるのが本当に嫌でした。理屈ではありません。「私はファティマじゃない」と思ったし、自分の今までの人生を抹消させられるような、味わったことのない恐ろしい気持ちがしました。
私は名前はアイデンティだと考えます。
自分が自分であるためのもの。
夫に言ってファティマと呼ばれたくないと伝えてもらいましたが、義母は笑っただけで呼び方を変えることはありませんでした。私の気持ちは完全スルー。
その後、息子が生まれ順調に育ちました。ある日、言葉を覚えた息子が義母に言います。
「ママの名前はファティマじゃないよ?」。夫はいつも私を本名で呼ぶので息子がそう思うのは当然です。
すると、なんということでしょう!義母はあっさり私を本名で呼ぶようになりました。我慢して受け入れていた私がバカみたいです。
どっちでも良かったんかい!!
孫と嫁では対応が違うのです。
ビンタ事件、その後。
何年か前、私と義妹がけんかして、私が義妹にパンチを食らわせるという出来事がありました。義妹は私の日本製の良いTシャツを引っ張って応戦、破れるほどの戦いでした。
義母はけんかを止めに来て、私は義母を何度も振り払いました。そこへ義弟がやってきて私をビンタしました。これが事件の客観的な事実であり、重要ポイントです。
それからしばらくたったある日。親戚の女の子と話をする機会がありました。小さい頃から知っていて私が気を許している唯一の女の子です。
彼女と話をして知った事実。彼女は私が義妹を殴ったことは知っていましたが、私がビンタされたことは知りませんでした。私だけが悪者。
義母が話したのでしょうね。義妹は親戚と折り合いが悪く一切交流がありませんし、義弟もわざわざ自分から話すとは思えません。
義母は自分の娘と息子、自分のプライドを守りたかったのだろうと思います。
嫁なんて所詮、よそ者です。
出産と巡礼
私が次男を出産したとき、義母はメッカに巡礼に行っていました。
近所の義母の友達が巡礼に行くので一緒に行きたいということで、その友達の息子さんが同行するならば安全だろうと費用を出す夫が行かせることを決めました。
イスラム教の重要なイベントですから、出産時に不在だったことに文句はありません。無事済ませることが出来て良かったと思っています。
でも…。巡礼も大切ですが、出産も私にとっては大仕事。私の心が狭いのは認めますが、義母としてちょっとぐらい「不在することになりすまない」という素振りがあってもいいと思いました。そういうことは全然ありませんでした。
それどころか「赤ちゃんが生まれたら、世話で忙しくて行けなくなるから絶対に行かなければならない」とさえ言っていました。赤ちゃんのせい?お腹の中の次男が不憫に感じられました。
モロッコ人はなかなか謝らないというのはよく言われることですが、「巡礼に行くのはムスリムとして当然のこと(=私は悪くない)」という思考なのかもしれません。
また、帰ってきた義母が私に言ったのは「赤ちゃん可愛いね」と「またメッカに行きたい」でした。嫁の体を気遣う言葉はなかったです。
がっかりです。
比べて申し訳ないけれど、私の実母の場合。
「知らない人ばっかりの場所で、なんぼ寂しかったっぺなと思った。お母さんは3人産んだけど毎回不安だったもの。一緒にいてやりたかったなと思って涙が出た。あなたは強いね。」
温かい言葉に私の方が涙がでます。「一緒にいてやりたい」という実母と「おばさんたちが来てくれるから自分がいなくてもいいでしょ?」という義母。出産に対する温度差を感じました。
1日2食
義母がメッカに行った話の続き。
次男が生まれて2日後ぐらいに義母がメッカから帰国。その数日後に今度は夫が海外に行って2週間不在になった。
夫は出発前、義母に「ぼかいかに朝昼夜、三食ご飯を作ってください。ぼかいかの冷蔵庫は空っぽです。」と言って出かけた。お金も置いていった。
義母は朝食と昼食は毎日作ってくれたが、夕食はそうではなかった。
夫が出かけて1日目の夕食。義母は焼いたレバーとパンを持って来た。2日目の夜はゆで卵二つとパン。でも2日間とも赤ちゃんがぐずって私は食べる余裕がなかった。後で食べようと思ったけど疲れて気がついたら寝てしまっていた。朝起きたら食事は回収されていた。
3日目からは義母は夕食を持ってこなかった。「夕食食べる?」と聞かれることもなかった。朝食と昼食は食べているので死ぬわけじゃないけど、1日2食の日は11日続いた。
母乳あげてるからね、食べたいの。
夫が帰ってくる前日に夕食が復活。
どういうこと?
準備してくれた夕食を食べられなかったのは申し訳なかったけど、三食作ってと言われてるのだから作ればいいだけの話。なんでやらないのか…。(邪推になるが夫が置いていったお金を残したかったんだろうと思っている。)
モロッコ人はお客様をおもてなしをする時にはしつこいほどに「食べて、食べて!」と言うけど家族になるとシビアだなと思った出来事でした。
まとめ
「あなたのこと、本当の家族だと思ってる。」を日本人の感覚で受け取ると後々がっかりするかもしれません。これは形式的な挨拶のようなものなのではないかと思うようになった今日この頃です。
ほぼ私の愚痴なのですが、私は幸せに暮らしていますのでご心配なく。
義母は悪い人ではないけど、日本人ではないので考え方が違うのと、失礼ながら教育レベルの問題で考えが浅いところがあるように思います。
このブログはモロッコ人とお付き合いしている方に読んでもらっているので、結婚生活のリアルとして書いてみました。