海外に長く住んでいると、現地の大使館を利用することは避けて通れません。
今回はモロッコに10年以上住んでいる私が実際に大使館を利用し経験して思ったことが主な内容です。
辛口な表現もあるかもしれませんが、悪口を言うつもりではなく、失敗を未然に防ぐことを目的として書いています。
こんなことがあった。事例1 日本国籍取得の危機。郵便が届いていない?
海外で子供を産んだら、3ヶ月以内に出生届を提出しないと、日本国籍取得の権利を失います。
これが極めて重要なことだと理解することは難しくない、と私は思うのですが・・・。
私は出産後、二か月を過ぎて大使館に出生届を郵便で提出しました。極めて重要なことですから数日後、大使館に到着確認の電話をしてみました。すると「届いていない」というのです。
届いたら連絡が欲しい旨伝えたのですが、何日経っても連絡は来ません。提出期限の3ヶ月が迫っています。モロッコ人である私の夫はことの重大性を理解しており、私が指示するまでもなく、再び市役所から書類を取り寄せ、再提出の準備を進めました。
最悪の場合、車で行くしかないです。
大使館、めちゃめちゃ遠いから仕事も休まなきゃいけないね。
「もうこれ以上待てない。」となり再び度大使館に電話すると、前回の電話の対応者ではなく領事が電話に出られ、とうの昔に受け取り自分が事務処理をしたとのことでした。書類が届いてないという話は聞いていなかったそうです。(領事=大使館のなかで一番えらい人。語彙力w)
単に内部の連携の悪さのために、私たちはヤキモキさせられました。書類の準備1枚にしても日本のようにスムーズではないので面倒ですし、お金もかかるのです。
誰にでもミスはあります。でも国籍取得という極めて重大な事項ですから、もう少し注意深くしてくれても良かったのではないかと感じました。
内部の連携までこちらが心配しなければならないこと?
「ほかの人にも確認してね」なんてまさか言うえないよね。
事例2 パスポート発行の際のグダグダ感
なんだかんだあったのですが、最終的に私の子供のパスポートの名前の表記の仕方は下の枠の中のようにしています。
日本人とモロッコ人のカップルだと名前は下の例のような感じの方が多いと思われます。
例 日本国籍での名前 鈴木アダム
モロッコ国籍での子供の名前 ××××adam ( ××××は夫側の苗字)
鈴木アダム
suzuki (××××)adam
ポイントはココ↓
これを知らなかったから、私は後でかなり面倒なことになったよ。
パスポートに関する面倒な騒動は、長男が生まれて、子供用のパスポートを申請することになったことから始まりました。
大使館の窓口で申請用の用紙を受け取った時、「名前の最後には母音が付きますから、気を付けて下さい。この子の場合は最後にUが付きます。」と言われました。息子の名前は本来モロッコでは上記の例のような子音終わりの名前ですが言われるがままに、ADAMUというように最後に母音Uを付けて申請を提出しました。
夫の苗字を付けられることも知りませんでしたから当然併記していません。日本の名前だけです。言われるがままに書いたので当然だと思うのですが、すんなりとパスポートは発行されました。
未だに何をどう聞き間違ったのか見当がつかない。
正直、聞き間違いではないと思っている。
問題が発覚したのは翌年です。私は翌年次男を産み、同じようにパスポートを申請しました。
すると、去年とは領事が変わったらしく「この申請は一般的な表記の仕方ではないですが…。最後の母音なしで表記できますがどうしますか?」と丁寧に教えていただきました。
ほかの人と違うと知ってかなりショック。
私はとにかく普通でいいんだよ!
悩んだ結果、一般的でないとされた表記の仕方でパスポートを発行しました。上の子がすでにパスポートを発行しているので、兄弟で表記の仕方が違うと飛行機の予約などで混乱が生じると思ったからです。
パスポートを使って分かった問題点
このパスポートを使い、家族でモロッコ国外へ出ようとした時のことです。
出国審査で「なぜこの子たちは、滞在許可もなくモロッコに長期滞在しているのか」と聞かれました。
この子たちはモロッコ人だからですよ。二重国籍です。
私たちはファミリーブックという、モロッコの市役所で発行した家族の出生日などが記載された手帳を持参していたので提示しました。
しかし日本のパスポートは日本人の苗字を使った名前、ファミリーブックは夫の苗字ですから、係官は「同一人物であることが証明できない」というのです。夫が頑張って説明して何とか出国審査は通してもらえたのですが、飛行機に乗り遅れそうなほど時間がかかりました。
これを回避するために夫側の(モロッコ国籍の)苗字も併記しておくとよいということを後になって知人から教えてもらいました。
私と当時7か月の長男だけで出国した時はすんなりと通れたのだけどね。
ケースバイケースもしくは担当者次第ってところもあるかもね。
ただし、苗字を併記すれば絶対に大丈夫なのか、これがベストなやり方なのかはわかりません。あくまでも参考ということでお読みください。
モロッコ国籍のパスポートも作って、出国時はこれを使うってやり方もあるね。
私は単に無知だから作ってなかった。でも出国のためだけに作るのは、もったいないよね。
お金もかかるしかさばるよ。
パスポートの名前変更
パスポートの名前の変更は、離婚で名前が変わったり改名したなどの理由でない場合は1回に限り変更できるそうです。
有効期限切れによる長男のパスポート更新のタイミングで、
①最後に付け加えた母音なしの名前の表記にする
②モロッコ国籍上の苗字を付け加える
の2点について変更申請することにしました。
大使館のある首都ラバトは私の住むマラケシュから遠く離れています。高速道路で時速120キロで走り続け4時間以上、5時間近くかかります。パスポート受付は午前のみ。朝7時に出発してぎりぎり受付時間に間に合うぐらいです。気軽に行き来できる距離では決してありません。
大使館に行く数日前、窓口に電話をしてどのような変更をしたいか説明しました。その上で申請書を書き、「メールで送るので事前に書類を確認してほしい」とお願いしたのですが「そういうことは受け付けておりません。不備があれば窓口で訂正できますので問題ありません。」と窓口の方に断られました。
従前はむしろ、簡単な申請でも領事から事前に書類をメールで見せてくださいという感じだったのですが・・・。
ここで引き下がらなければよかったと後から思い知ることに。
いざ、大使館へ赴き、窓口で申請書を提出すると「この変更をするためにはお住いの地域の市役所から書類を取り寄せることが必要です。書類無しならば、今変更できるのは1点だけです」とのこと。
えぇーーーー!だからメールで確認してって言ったじゃーーん!!!
しかも、謝罪の言葉はありません。
さらにその時点では名前の変更は1回だけという説明はありませんでした。知らなかったのでとりあえず今回変更できるぶんだけ変更するということで手続きを進めてもらいました。
次の更新の際にまた変更しようと思ったの。
ちょっと危なかったよ。
もうこの時点でお昼休みの時間。外で昼食をとり、公園でふらふらしながら待っていると「今調べたところ、『名前の変更に関して大使館は一切の責任を負わないことに同意する』と一筆書いたら希望通りの変更ができます。」と携帯電話に連絡が来ました。
一筆書けとな…。えー、何だろう?私クレーマー扱い?
ここまで窓口の方の対応なのですが、館内で「領事と面談を希望の方はお申し出ください」という貼り紙が目に入ったので、領事に対応してもらいました。
領事の説明によれば、「一筆書いてもらう理由は、名前の変更は1度しかできない変更であり、軽々に出来るものではないと認識してもらうため。全員が書くものです。」ということでした。
また、「事前のメール確認拒否については知らなかった。そこは謝罪します。あなたのケースはレアケースなので、スムーズな処理ができなかった。」そうです…。
結果的には申請通りの変更は果たせましたが、不信感を覚えたのは確かです。
事例3 外務省に意見メールを送ったら、領事げきおこ☆
外務省のホームページでは「利用者の方の要望や意見を広く求めています」としてメールの投稿ができるようになっています。私は大使館の対応に不満や疑問を感じたときはこちらに投稿しています。
コロナ禍になり、とある問い合わせをメールで送ったところ、「あなたが外務省にたびたびメールを送っていることは知っています。誹謗中傷です。あなたとはメールでの対応はしませんので、電話してください」との返答が返ってきました。
えぇーーーー!広く意見を求めてることを知らないのだろうか。SNSで拡散などではなくあくまでもサービス改善に役立てて欲しいという気持ちでのメールだったのですが、誹謗中傷とは…。
意見を言ったら誹謗中傷。
KK問題のМ子さんと同じだな。
これは平たく言えば、「チクってるのは知ってんだぞ、こら。電話かけてこいやー」ってことだと私は感じました。
それと、要するに「差別的な扱いをしますよ」って言っちゃってるのは公の機関としてだいぶまずくないか?と思うのです。びっくりしました。
失敗を防ぐには?
正直なところ、大使館を利用するとなんでこうスムーズにいかないのかなと感じています。
そこで私なりに、経験から失敗を防ぐ方法を考えてみました。
①電話は領事を指名したほうがよい。窓口の方で済むこともあるけれど、領事と話した方が確実。遠慮しない方がいい。
②申請などの書類提出の際は事前にメールで送り確認してもらう。断られても引き下がらずに「従前はやっていましたよ」と言う。
③込み入った話は電話+メールでする。形に残っていれば、言った言わないの話になることもなく、相手のミスだけでなく自分のミスにも気が付くことができる。
④大使館の方は不慣れであることを認識する。
日本で公的機関を利用するときは、間違いがなくて当然、なんでもわかっているはずという感覚で利用するかと思う。しかし大使館はこの限りではないと思ったほうがよい。
誹謗中傷と言われたくないので補足したい
私たちは大使館に何回も行ってるけど、ほかの来館者に出くわしたことないよね。
大使館って暇なんじゃないの?
そうではないと思いますよ。
ここからはあくまでも私の想像なります。
在留日本人が多い国ならば大使館の職員もそれなりに多くなるはずです。すると仕事は分担され、専門的な職務ができると思います。しかしモロッコのような日本人が多くない国だとそれほどの人員が配置されないので、1人の職員がやらなければならない業務というのは多岐にわたるのかもしれません。窓口業務だけが大使館の仕事でもないでしょうし。
また、参考にできる前例事案の積み上げも少ないと考えられます。初めて経験する事案が出てきたら法律法令規則などを調べなければなりません。
それから、不慣れな土地で平日は勤務していることから、
都市間の距離感や交通事情、現地で働く人の金銭感覚など現地に長く住む人と同じ感覚をつかむのには時間がかかるのかなとも思います。
そのほかにも私ごときが想像もつかない苦労はたくさんあるのでしょう。
ただ、海外に赴任される方は皆選抜された優秀な方々なので、サクサクこなせるのだと思います。
まとめ
多少、辛口かなと思う表現もあるかと思いますが書きました。
大使館の関係者の皆さんが頑張っていらっしゃるとは思っています。てきぱきと事務処理をしてくださる方、感じの良い方ももちろんいます。
しかし、利用者として自分が不利益を被る可能性があるならば、いいね!とばかりは言っていられません。
まず自分で調べたり、確認したりすることは必要だなというのが実感です。
今回の内容も誹謗中傷になるのかなぁ?
あくまでも事実と意見ですのであしからず。